プロジェクト情報

CDMとは

京都議定書における位置づけとその意味するところ

クリーン開発メカニズム(CDM)は、京都議定書において、数値目標規制の課せられていない開発途上国におけるプロジェクトベースで排出権を生み出すメカニズムです。先進国がより数値目標を達成しやすくなる市場メカニズムの一種として導入されました.開発途上国に対しても、温室効果ガス排出削減を行ったら(その分の削減量を先進国に売ることで)儲かる制度となっています。

開発途上国において、温室効果ガスを追加的に削減するCDMプロジェクトが実施され、その削減分をCERという排出権(排出削減クレジット)という形で先進国やその企業が購入し、自分の削減分と見なすことができるわけです。

CDMプロジェクト:イメージ1

排出削減は、ベースラインという状態(CDMとならない状態)の排出量と、実際のプロジェクトの排出量の差で表されます。重要なのは、通常のビジネスで実施されるプロジェクトは「削減」とはならない、ということです。CDMとなるからこそ実施されるものである必要があります。これは、排出削減の「追加性」と呼ばれ、削減が本当であったという意味で、とても重要な概念です。

CDMは、ホストとなる途上国にとっては、その国の持続可能な発展を手助けする手段でもあります。CDMは欧州の排出権市場にドライブされる形で年々拡大してきていますが、ミクロな意味で、現地の住民が便益を直接享受しているプロジェクトは、面倒で小さいプロジェクトが多いため、あまり実施されていないのが実態です。PEARは、この課題解決のために、カーボンオフセットを活用しようとしています。

CDMの手続きフロー

CDMは、CDM理事会という監督機関の下、さまざまな審査プロセスが完備しています。

CDMプロジェクトを実施する上でのプロセスの概略は、以下の図のようになっています。

CDMプロジェクト:イメージ2

プロジェクト登録前

Step 1: まずどのようなプロジェクトにするか、企画設計を行います。

Step 2: CDMとして登録されるためには、そのためのプロジェクト設計書(PDD)を作成する必要があります。この文書は、プロジェクトの説明以外に、排出削減の追加性の論証、排出削減量の計算手法、モニタリングプラン、環境影響評価などが記載されます。通常は、3ヶ月以上を要します。実施しようとするプロジェクトタイプの排出削減量の計算方法やモニタリング方法は事前にCDM理事会によって承認された方法論に則ったものである必要があり、承認された方法論がない場合は事業者が開発して、CDM理事会の承認を得る必要があります(これは半年から一年程度要します)。

Step 3: そのプロジェクトがCDMとなるかどうか?という事前審査(validation)が行われます。審査を行うのは、CDM理事会に認定されたDOEという第三者機関(ISOの認証機関など)です。その段階で、環境影響評価はもちろん、ホスト国政府承認、Web上でのパブリックコメント、現地での公聴会なども必要とされます。

Step 4: DOEによる事前審査が正しく行われたどうか、CDM理事会による審査が行われます。とくに問題がなければ、CDMプロジェクトとして登録されることになります。

プロジェクト登録後(実施中)

Step A: プロジェクトが事業者によって実施されます。

Step B: 排出量や各種パラメタのモニタリングも、事業者によって、PDDに記述された方法で、定期的に計測・記録され、排出削減量が計算されます。

Step C: 通常は毎年、モニタリング結果の検証(verification)が、DOEによって行われます。これは実績の検証で、これによって確認された排出削減量が、CERとなるわけです。DOEは、小規模CDM(再生可能エネルギーの場合15 MWe以下、省エネは60 GWeh/年以下、その他は6万ton CO2e/年以下のプロジェクト)の場合には、事前審査と同じDOE、それより大きな規模の場合には、異なったDOEが行います。

Step D: DOEの検証した結果が正しいかどうか、CDM理事会によってチェックされ、問題がなければ、その削減量分のCER(CDMクレジット)が発行されます。事業者は、2%を天引きされた量を獲得します(その他にも事業者は事務的なフィーをCDM理事会に支払います)。CERは、事業者の排出権の口座に移転されます。事業者間でのCER分配は、事業者が相互契約の下で決定します。

Step E: 以上の Steps A–D のサイクルを、通常は10年間まわし続けます(10年間、CERが発生します)。

このように、何重にもわたる事前・事後の審査プロセスを経て、CDMクレジット(CER)は発行されるのです。

プログラムCDM

通常は、CDMプロジェクトは、発電所や工場などのプラントで行われることが多いでしょう。ですが、最近、小さい活動を多数あつめて実施する「プログラム」をCDNMプロジェクトとして実施することが、CDMのルールとしてできるようになりました(PoA: Programme of Activitiesと呼ばれます)。

PEARのターゲットとする現地住民が直接便益を享受できるプロジェクトとは、まさにこのようなタイプとなっています。2008年6月現在では、まだCDMプロジェクトとして登録された案件はありませんが、PEARはこの方面で高い専門性と経験を持ち、バイオガス・マイクロダイジェスターなどをこのアプローチでCDMプロジェクト化しようとしています。

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