地球温暖化関連情報

地球温暖化問題の難しさ

エネルギー消費とのリンク

一般に、(私たちが望ましいと考えている)経済成長を行えば、それに呼応してエネルギー消費が伸び、同時にCO2排出量も増える傾向にあります。一次エネルギーの大部分を構成する石炭、石油、天然ガスといった化石燃料は、C(炭素)とH(水素)の化合物であり、燃える(=エネルギーを取り出す)と必ずCO2を排出するわけです。

CO2は量的にもっとも大きな寄与を持つ温室効果ガス(GHG)であるため、この意味は大きいわけです。下図に示されているように、世界のCO2排出量は、産業革命以降、経済成長にドライブされるという形で、ほぼ指数関数的に増え続けてきました。何度か減った時期がありましたが、それは世界大戦、世界恐慌、石油危機、大きな経済圏の崩壊など、社会に非常に大きな経済的打撃が加わった時期(のみ)であることを歴史が示しています(それもそれほど大きな量ではありません)。実際に、温暖化対策として人工的にこのような状況を起こすことは、政治的にほとんど不可能であるのは明らかです。現代文明を(化石)エネルギーが支えてきたことは事実なのです。

現代文明は、経済が成長してはじめて成り立つような構造になっているため、継続的なCO2排出抑制(そして削減)がいかに難しいことであるか、がご理解いただけたかと思います。

実際、みなさまがみずからの生活において、便利さを追求しようとすれば、ふつうはエネルギー消費が増え、CO2がその分増えるわけです。なかなかそれをみんなで効果的に削減していくことは、難しいのが現実です。PEARは、カーボンオフセットそしてカーボンマネージメントのプラットフォームを提供することで、まさにこの点にメスを入れようとしています。

図: 世界のCO2排出量の推移[過去トレンドと未来の選択]
ある(特に安全な)レベルで大気中のCO2濃度を安定化させようとすると(このことは気候変動枠組条約の究極の目的となっています)、CO2排出量を現状の数分の1に抑える必要があります(これは疑いようのない科学的事実として認識されています)。また、一般にある閾値を超えた場合、不可逆的な(取り返しのつかない)状況が起きることも必至でしょう(ただしその値は現時点では正確には予見できません)。いずれにせよ、地球温暖化問題とは、上図に示されているように、「どのような未来社会を選ぶか?」という『選択』の問題であると言うことができるでしょう(「予測」ではないわけです)。地球温暖化問題は、「文明論そのもの」とも言えるきわめてチャレンジングな問題となってます。加えて、この問題には以下のような「難しさ」が内在しています。

南北問題とのリンク

現時点で「ひとりあたり」という指標において圧倒的に排出量が大きい(温暖化問題に対する責任が重い)のは、先進国、とくに米国のような国です。一人あたり排出量という指標においては、米国は中国の排出量より約一桁多い排出をしています。一方で、今後の増加分は、エネルギーを用いて経済成長していく発展途上国の寄与度が大きくなります。

しかし、ひとりあたりの排出量が小さくこれから経済成長をしていく発展途上国に、排出規制を課すことは現実的ではありませんし、倫理的にも難しいでしょう。「まず先進国から」という考え方を具現化したものが京都議定書にほかならないわけですが、それでも、米国ブッシュ政権のように、頑なに自らの責任を果たすことを拒んでいる国もあるのが現実です。
このように、富めるものと貧しいものの間の問題が、国際的に効果的に対策を進めていく大きな障害となっているわけです。

PEARは、発展途上国において、まさに持続可能な発展に向かう方向のプロジェクトを実施し、GHG削減と持続可能性の両立を目指しています。

時間的スケールの長さ

温暖化問題の難しさのもうひとつの点は、空間的スケールもそうですが、その時間的スケールの長さにもあります。まず、現時点で金額ベースで気候変動の人為的な被害がどの程度あるか、という点は(世界経済の大きさと比較して)さほど大きくないでしょうが、50年後、100年後には、これらはけっして無視できないものとなると考えられます。そしてそれが顕在化してしまってからでは、すでに手遅れ… という場合も十分に予測されます(気候系は非常に慣性が大きく変化への対応に時間がかかるのです)。

一方で、対応の難しさを考えると、どうしても対策の重要性が過小評価され、先延ばしとなる傾向にあります。「将来世代のために」と言葉で言うのは簡単ですが、現実には痛みを伴うかもしれない行動を実施することは、残念ながら別の問題です。

科学的不確実性

半年後の長期天気予報がなかなか当たらないことでもわかるように、将来の(特に100年間にわたる)地域レベルの気候の変化を予測することは、かなり難しい作業です。加えて、その気候が変化することに起因するさまざまな生態学的および社会経済的インパクトをそれなりの確度で予測することは大変でしょう。比較的簡単なプロジェクトのふつうの環境影響評価の場合でも、事後的にわかることが多く、その意味で、気候の問題は「わからないこと」を前提とした意志決定や行動が求められていると言えるでしょう。

前述のように、国際社会は、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という組織をつくり、その時点のベストの知見を政策に反映させようとしてきています。一方で、ブッシュ大統領のように「自分の都合のよい見解を持つ科学者の意見をピックアップする」という傾向も見られるのが現実です。

喫緊の問題であるという認識の欠如

地球温暖化問題は、ダイオキシンやアスベストなどの健康被害が直接実感される問題ではありません。また、成層圏オゾン層破壊のように目に見える映像で迫ってきているというようなこともありません。たしかにじわじわと(たとえば降雪量の漸減やハリケーンの大型化という形で)感じることがあるかもしれませんが、因果関係の論証が簡単ではない中で、喫緊の課題であるとみんなが思うまでは至っていないと思います。さまざまなキャンペーンなどで一時的に行動をすることがあったとしても、継続的に、実効ある形で対策を行うためには、意識に訴えるだけでなく、対策を「社会システム」の中に「織り込む」ことが必要になります。

PEARは、まさにこの点に関して、カーボンオフセットをきっかけとして、人びとの認識を喚起し、ボランタリーではありますが、みなさまが自らの意思で、低CO2型社会に向かっていくように行動を変えていくような、消費経済社会に埋め込まれたプラットフォームを提供します。